- FPが業務を行う上で守るべき法律や規制の全体像
- 他士業(税理士・弁護士など)の独占業務に踏み込まない線引きを学ぶ
1. FPと関連法規の概要
-FPは独占業務を持たないが、関連法規を遵守することで信頼ある提案が可能になる
-主な関連法規
- 税理士法
- 保険業法
- 金融商品取引法
- 宅地建物取引業法
- 社会保険労務士法
- 個人情報保護法
- マイナンバー法
2. FPができること・できないこと一覧
2.1 FPができること
分野 | できること |
---|---|
税務 | 一般的な税制の説明、所得税や住民税の計算例示 |
保険 | 保険商品の仕組みや保障内容の説明、必要保障額のシミュレーション |
投資 | NISA・つみたてNISAの制度説明、リスク・リターンの概説 |
年金 | 公的年金(受給額試算)の一般的説明、ライフプラン試算 |
不動産 | 住宅ローンの仕組み説明、賃貸 vs 購入の比較シミュレーション |
情報管理 | 顧客情報の安全管理・同意取得、アドバイス履歴の保存 |
2.2 FPができないこと
分野 | できないこと |
---|---|
税務 | 確定申告書の作成・税額計算、個別具体的な節税アドバイス |
保険 | 勧誘・販売契約手続き、保険募集人業務 |
投資 | 有償の投資助言・代理業、ポートフォリオ運用 |
年金 | 裁定請求の代行、公的年金手続き(社労士業務) |
不動産 | 売買・賃貸の仲介業務(宅建士業務) |
法律相談 | 遺産分割調停の代理、遺言書作成代行(弁護士業務) |
3. 試験に出る法令まとめ
法律名 | 主な規制内容 | FPが守るべきポイント |
---|---|---|
税理士法 | 税務書類作成・個別税務相談は税理士だけが可能 | 一般説明はOK、書類作成はNG |
保険業法 | 保険商品の募集・販売は保険募集人が独占 | 仕組み説明はOK、募集はNG |
金融商品取引法 | 投資助言・代理業は登録業者だけ | NISA説明はOK、有償助言はNG |
宅地建物取引業法 | 不動産売買・賃貸仲介は宅建士が独占 | 条件説明はOK、仲介はNG |
社会保険労務士法 | 年金裁定請求などは社労士が独占 | 試算はOK、手続き代行はNG |
個人情報保護法 | 顧客情報の適切な取得・管理 | 同意取得・漏えい防止を徹底 |
マイナンバー法 | マイナンバーの収集・保管は厳格制限 | 原則禁止、例外と管理方法を理解 |
4. 問題集
○×問題(1〜10)
- FPは、税理士資格なしで確定申告書を作成できる。
- FPは、保険商品の仕組み説明を資格なしで行ってよい。
- FPは、NISA制度の概要説明を登録不要で行える。
- FPは、金融商品取引業者の登録なしで有償投資助言を行える。
- FPは、弁護士資格なしで遺産分割調停の代理人になれる。
- FPは、顧客情報を同意なく第三者に提供してよい。
- FPは、マイナンバーを安全に保管してもよい。
- FPは、宅建士資格なしで不動産仲介を行ってよい。
- FPは、公的年金の受給見込み額の試算を行ってよい。
- FPは、一般的な保険料計算例を示してよい。
四択問題(11〜15)
- 個別税務相談・申告代行を行うには必要な資格は?
- 弁護士
- 税理士
- 宅建士
- 社労士
- 保険商品の募集・販売には必要な資格は?
- 保険募集人
- FP技能士
- 税理士
- なし
- 有償の投資助言・代理業を行うには必要な登録は?
- 弁護士登録
- 社労士登録
- 金融商品取引業者登録
- 宅建業登録
- 公的年金の裁定請求代行をするには必要な資格は?
- FP技能士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 弁護士
- 不動産売買・賃貸仲介を行うには必要な資格は?
- FP技能士
- 宅地建物取引士
- 保険募集人
- なし
✅ ○×問題 解答&解説
- FPは、税理士資格なしで確定申告書を作成できる。
- 答え:×
- 解説:確定申告書の作成や個別具体的な税務相談は税理士法で税理士の独占業務に指定されています。
- FPは、保険商品の仕組み説明を資格なしで行ってよい。
- 答え:○
- 解説:保険商品の一般的な仕組みや保障内容の説明は可能ですが、募集・販売には保険募集人資格が必要です。
- FPは、NISA制度の概要説明を登録不要で行える。
- 答え:○
- 解説:NISAのしくみや制度概要の説明は登録不要です。有償の投資助言を行う場合は、金融商品取引業者としての登録が必要になります。
- FPは、金融商品取引業者の登録なしで有償投資助言を行える。
- 答え:×
- 解説:有償での投資助言・代理業は金融商品取引法で登録業者の独占業務と定められています。
- FPは、弁護士資格なしで遺産分割調停の代理人になれる。
- 答え:×
- 解説:遺産分割調停の代理は弁護士法で弁護士の独占業務です。
- FPは、顧客情報を同意なく第三者に提供してよい。
- 答え:×
- 解説:個人情報保護法およびFPの守秘義務により、顧客の同意なしに情報を提供することは禁止されています。
- FPは、マイナンバーを安全に保管してもよい。
- 答え:×
- 解説:マイナンバー法では、本人確認や特定個人情報の利用目的以外での収集・保管を原則禁止しています。
- FPは、宅建士資格なしで不動産仲介を行ってよい。
- 答え:×
- 解説:宅地建物取引業法に基づき、不動産の媒介・仲介業務は宅地建物取引士資格者のみが行えます。
- FPは、公的年金の受給見込み額の試算を行ってよい。
- 答え:○
- 解説:年金の受給額試算やシミュレーションは社労士の独占業務ではないため、FPも可能です。
- FPは、一般的な保険料計算例を示してよい。
- 答え:○
- 解説:保険料の概算計算例は説明の一環として認められています。
📝 四択問題 解答&解説
- 個別税務相談・申告代行を行うには必要な資格は?
- 答え:B. 税理士
- 解説:税理士法で、確定申告書の作成や個別税務相談は税理士の独占業務と定められています。
- 保険商品の募集・販売には必要な資格は?
- 答え:A. 保険募集人
- 解説:保険業法により、保険商品の募集・販売には保険募集人資格が必須です。
- 有償の投資助言・代理業を行うには必要な登録は?
- 答え:C. 金融商品取引業者登録
- 解説:投資助言・代理業を有償で行う場合は、金融商品取引法に基づき金融商品取引業者としての登録が必要です。
- 公的年金の裁定請求代行をするには必要な資格は?
- 答え:C. 社会保険労務士
- 解説:年金裁定請求手続きの代行は、社会保険労務士法で社労士の独占業務とされています。
- 不動産売買・賃貸仲介を行うには必要な資格は?
- 答え:B. 宅地建物取引士
- 解説:不動産の売買・賃貸仲介業務は宅地建物取引業法により、宅建士資格者のみが行えます。
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