PR

リースバックの問題点について、さらに詳しく事例を交えて解説します。

スポンサーリンク
Leaseback
記事内に広告が含まれています。

リースバックの落とし穴:知っておくべき「問題点」と「実際の事例」

前回の記事でリースバックの概要やメリット、そしてニュースにもなっている問題点について触れました。今回は、その「問題点」をより深く掘り下げ、実際にどのようなトラブルが起こりうるのか、具体的な事例を交えながら詳しく見ていきましょう。

リースバックは、一時的な資金調達には非常に有効な手段ですが、その仕組みやリスクを十分に理解せずに利用すると、後悔することになりかねません。

1. 家賃が市場相場より「割高」になる可能性

リースバックの家賃は、単純な市場家賃相場だけで決まるわけではありません。リースバック事業者が不動産を買い取る際の「購入価格」や、事業者側のリスク、そして将来の再売却益を見込んだ上で設定されるため、周辺の賃貸物件と比較して割高になるケースが少なくありません。

なぜ割高になるのか?

  • 事業者の利回り確保: リースバック事業者は、物件を購入した上で賃料を得ることで収益を上げます。購入価格に対する一定の利回り(投資回収率)を確保するため、家賃設定が高めになる傾向があります。
  • 短期的な資金ニーズへの対応: 「急いで現金が欲しい」という利用者のニーズに乗じて、売却価格を低めに設定する代わりに、家賃を高めに設定することで早期の投資回収を図ろうとする事業者もいます。

【事例】老後の生活費のためリースバックを利用したAさんのケース

Aさん(70代)は、自宅を売却して老後資金に充てるためリースバックを検討しました。売却価格は希望通りでしたが、提示された家賃は近隣の同程度の物件の1.5倍ほどでした。当初は「まとまったお金が入るから」と納得しましたが、年金暮らしのAさんにとって毎月の家賃負担は想像以上に重く、生活費を圧迫する結果となりました。数年後には生活が苦しくなり、やむなく転居を検討する事態になりました。

2. 将来の「買い戻し価格」が想定以上に高額になる可能性

リースバックでは「将来的に家を買い戻せる」という再売買予約の特約を付けるケースがあります。しかし、この買い戻し価格が、当初の売却価格よりもかなり高額に設定されることがあります。

なぜ高額になるのか?

  • 再売買予約の「手数料」: 買い戻しの権利を確保する対価として、事業者が一定のプレミアムや手数料を上乗せします。
  • 期間経過による価格調整: リースバック事業者が物件を保有している期間の管理費用、金利負担、物価上昇などを加味して価格が設定されます。
  • 市場価格の上昇: もし売却後に不動産市場全体が上昇した場合、それに合わせて買い戻し価格も上昇する可能性があります。

【事例】事業資金確保のためリースバックを利用したBさんのケース

Bさん(50代)は、会社の運転資金としてまとまった現金が必要になり、自宅をリースバックで売却しました。数年後に事業が軌道に乗れば買い戻したいと考えており、再売買予約の特約を付けました。しかし、買い戻しを希望する時期になった際、提示された買い戻し価格は、売却価格に加えて年利10%ほどの利息が上乗せされており、当初の売却価格の1.5倍にもなっていました。事業資金はできたものの、買い戻し資金の捻出が困難になり、結局買い戻しを断念せざるを得ませんでした。

3. 賃貸借契約の「期間の制限」や「更新の不確実性」

リースバック後の賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。特に注意が必要なのが「定期借家契約」の場合です。

  • 普通借家契約: 貸主からの正当な理由がない限り、更新が前提となる契約です。
  • 定期借家契約: 契約期間満了で契約が終了し、原則として更新されません。再契約の可能性がある場合もありますが、貸主が拒否することも可能です。

多くのリースバックでは、事業者の都合が良いように「定期借家契約」が利用されるケースが見られます。

【事例】高齢であることを理由に更新を拒否されたCさんのケース

Cさん(80代)は、自宅を売却して現金化し、住み続けることができるリースバックを「老後の安心」のために利用しました。契約は2年間の定期借家契約で、「問題なければ更新できる」と説明を受けていました。しかし、2年後の更新時期が近づいた頃、事業者から「建物の老朽化」を理由に更新を拒否され、退去を求められました。住み慣れた家を出ることを予期していなかったCさんは、急な転居を余儀なくされ、心身ともに大きな負担となりました。

4. 所有権の喪失に伴う「自由度の制限」

自宅の所有権がリースバック事業者に移るため、家に対するあらゆる自由度が失われます。

  • リフォームや増改築の制限: 自分の家ではなくなるため、勝手にリフォームや増改築を行うことはできません。必要であれば事業者の許可が必要となり、費用も自己負担となるか、拒否される可能性もあります。
  • 将来の資産形成や相続への影響: 売却してしまうと、その家は資産として残らず、将来的に子供に相続させることもできません。
  • ローン返済中の場合: 住宅ローンが残っている場合、売却代金でローンを完済する必要があります。売却価格がローン残高を下回る場合は、不足分を自己資金で補う必要があります。

5. 悪質な業者による「不当な契約」や「高額請求」

残念ながら、リースバック市場の拡大に伴い、消費者の知識不足や緊急の資金ニーズに付け込み、不当な契約や高額請求を行う悪質な業者が存在します。

具体的な手口と事例:

  • 著しく低い売却価格の提示: 「今すぐ現金化できる」ことを強調し、市場価格よりもはるかに安い価格で物件を買い叩く。
  • 高額な手数料や違約金の設定: 契約締結時や契約解除時に、法外な手数料や違約金を請求する。
  • 説明不足・虚偽説明: 「ずっと住み続けられる」「いつでも買い戻せる」など、有利な点だけを強調し、デメリットやリスクを説明しない、あるいは虚偽の説明をする。特に高齢者に対して、複雑な契約内容を十分に説明せずに契約を急がせるケースが多発しています。
  • 強引な勧誘: 繰り返し電話をかけたり、自宅に訪問したりして、半ば強引に契約を迫る。

【事例】高齢のDさんが騙されたケース

Dさん(80代)は、知人からの紹介でリースバックの話を聞き、老後の生活資金に不安を感じて契約を検討しました。訪問してきた業者は「手続きはすべてお任せください」「ご負担は一切ありません」と親切に説明しましたが、契約書は非常に複雑で、Dさんには理解できませんでした。言われるがままに契約書にサインして自宅を売却したものの、数ヶ月後には「賃料滞納」を理由に高額な遅延損害金を請求され、最終的には裁判所から立ち退きを命じられてしまいました。後になって弁護士に相談したところ、家賃が異常に高く設定されており、事実上返済が困難になるよう仕組まれていたことが判明しました。

まとめ:リースバックは「知識武装」と「複数比較」が命!

リースバックは、メリットがある一方で、上記のように多くの問題点が潜んでいます。特に、緊急の資金ニーズがある場合や、不動産取引の知識が乏しい高齢者は、悪徳業者のターゲットになりやすいため、細心の注意が必要です。

リースバックを検討する際は、以下の点を必ず守りましょう。

  • 複数の事業者から見積もりを取る: 売却価格、家賃、買い戻し価格、契約期間など、複数の条件を比較検討する。
  • 契約内容を徹底的に確認する: 契約書は隅々まで読み込み、分からない点は必ず質問し、明確な回答を得るまでサインしない。特に、家賃、契約期間(普通借家か定期借家か)、更新条件、買い戻し条件、違約金規定は重要です。
  • 専門家(弁護士・宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナーなど)に相談する: 契約内容のチェックを依頼したり、ご自身のライフプランに合った選択肢かどうかを客観的に判断してもらう。
  • 家族や信頼できる人に相談する: 一人で抱え込まず、身近な人に相談し、意見を聞く。

安易な判断は避け、納得がいくまで情報収集と相談を重ねることが、リースバックを成功させる鍵となります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました