〜被害の実態とその先に潜む危険を初心者向けに解説〜
主なポイント:
- リフォーム詐欺は「突然の訪問」「無料点検」「壊れたふり」「高額請求」など典型的手口がある。
- 被害者情報は犯罪グループの“ターゲットリスト”に流用され、さらに窃盗や強盗など次の犯罪に発展するリスクがある。
- 対策は「家に入れない」「その場で契約しない」「信頼できる第三者に相談」「クーリングオフの活用」が基本。
1. リフォーム詐欺の相談件数と増加傾向
以下は、国民生活センターのPIO-NET登録データによる「訪問販売によるリフォーム工事」の相談件数推移です1:
年度 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年(5月末) |
---|---|---|---|---|
件数 | 9,756件 | 10,099件 | 11,861件 | 1,308件(前年同期1,246件) |
- 年々増加傾向にあり、特に2023年は前年度比約17%増。
- 高齢者(70歳以上)からの相談が多く、判断力が低下しがちな層が狙われやすい特徴。
2. 典型的な詐欺の手口と仕組み
2-1 突然の訪問
「近所で工事をしているので無料で点検します」「屋根にひび割れが見えた」などと不意に声をかけ、家の中や屋根に上げようとする。【解説】怪しい業者はまず信用させるため“近所で見かけた”という口実を用いる。
2-2 無料点検を装った誘導
- 「見て異常がなければ料金不要」と言いながら、実際は屋根や壁を傷つけたり、写真を撮って不具合をでっち上げる。
- 点検後、写真や破損箇所を示し「危険ですぐ直さないと大きな被害に」と不安をあおる。
2-3 意図的な損壊と高額契約
- はしごで屋根に無断で登り、棒や工具でひびを広げる。
- 「瓦がずれている」「シーリングが劣化している」といった虚偽の説明で高額な修理契約を迫る。
2-4 即決を迫る心理戦術
- 「今日は特別割引」「今しか対応できない」と急がせ、冷静に検討させない。
- 一度不安をあおられると、人は“安心料”として高額でも支払ってしまいがち。
3. 実際の被害事例を初心者向けに解説
3-1 ブルーシート代1万円の請求
- 業者が「雨漏りを防ぐため」と言い訳し、ブルーシートを貼る。
- 作業後、「設置代として1万円」などと小額請求。
- あとで馴染みの業者に確認したところ、シートは容易に貼れるもので、被害者は「言われるまで気づかなかった」。
3-2 大規模屋根修理詐欺
- 写真を見せながら「屋根の継ぎ目が完全に剥がれている」と不安をあおる。
- 実際には小さな剥がれを過大に説明し、数十万円〜数百万円の修理契約を結ばせる。
- 正規業者による点検で「人工的に剥がされた痕跡」が判明し、被害届を検討するも証明困難で泣き寝入り。
4. リフォーム詐欺が“次の犯罪”につながる理由
- ターゲットリスト化:詐欺業者は契約時に氏名・住所・家族構成・資産状況を把握し、被害者リストをデータベース化。
- 匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ):SNSや闇バイト募集で集めた実行犯を使い、詐欺被害者宅へ強盗や窃盗を仕掛ける場合がある。
- 使い回しリスト:「被害救済」名目の二次詐欺や保険金詐欺、最悪の場合は強盗計画にリストを利用。
5. 被害を防ぐための具体的ポイント
- 突然の訪問には応じない
- まずは玄関越しに名刺を受け取り、信頼できるかを確認。
- 「屋根点検は馴染みの業者に依頼する」と断る。
- その場で契約しない
- 見積書や写真を受け取っても、必ず家族や友人、専門家に相談。
- 冷静になってから、複数業者に見積もり依頼。
- クーリングオフ制度の活用
- 訪問販売で契約した場合、契約書受領から8日以内なら無条件で解約可能。
- 「188(消費者ホットライン)」で手続きの相談を。
- 専門窓口への相談
- 消費生活センター、市区町村窓口、警察署に相談。
- 国民生活センターのウェブサイトで最新注意喚起や事例をチェック1。
6. まとめと行動喚起
リフォーム詐欺は単なる金銭被害にとどまらず、あなたやご家族の命・安全、資産を脅かす次の重大犯罪の入り口にもなり得ます。
“突然の訪問”には冷静に対応し、“その場で契約しない”姿勢を徹底しましょう。被害を最小限に抑えるには、家族や地域で情報を共有し、信頼できる専門家の目で再点検する習慣が重要です。台風シーズンや災害直後は特に悪質業者が増えますので、最新の注意喚起情報をこまめに確認してください。
不安を感じたら、すぐに消費生活センター(188)や最寄りの警察署へご相談を。
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